オーストラリアのコーチ資格認定
ASC(オーストラリア・スポーツ・コミッション)のコーチ認定に関する規約をまとめた「Coach’s Code of ethics」の第一項目には「すべての人の尊厳と価値を認め、正義を敬う – それは、性別や国籍、宗教等によって差別されてはならない」と明記されています。スポーツの精神を持つ者であれば、誰にでもチャンスが与えられます。しかし、品行規約が厳しく規定され、コーチとして相応しくない行為に対しては、資格剥奪などの厳しい規定が設けられています。コーチは常に研鑽の努力を心掛け、正しい指導を行わなければなりません。
豪州ラグビーコーチングコース
1985年に政府の関連機関としてASC(オーストラリア・スポーツ・コミッション)が設立され、以来オーストラリアのスポーツ発展の中心的役割を担っています。各スポーツ協会と密接に連携し、それぞれのスポーツにおいて確固たる実績を残しています。
高パフォーマンスのコーチング/スポーツ科学/スポーツ情報/スポーツマネジメント/ファシリティマネジメント/教育とリソース/参加の開発/国のスポーツ団体への資金提供プログラムの配信・・・
それらの開発・普及が主な役割です。
ラグビー分野では、オーストラリア代表(ワラビーズ)がW杯で2度の優勝を果たすなど、世界的に高いレベルを保持しています。ASCとARU(豪州ラグビー協会)が連携した事業(コーチングやコーチ資格制度の整備等)が、オーストラリアラグビー界の発展に大きく貢献しています。
豪州コーチングコースには世界各国から多くのコーチが参加します。自国のコーチング理論や資格を合わせ持つことで、コーチングのグローバル化が図られています。また、多くのオーストラリアのコーチも国外に進出し、各国でのコーチングの経験が確実にレベルアップに結び付いています。
日本のコーチ向けには、2001年から豪州コーチングコースが開催されています。
ARU専任コーチ教育スタッフが来日、オーストラリアで行われるコースとすべて同じ内容で開催されます。日本開催には通訳が付きます。
コーチングコース参加、試験、レポートや書類の提出を経て、適正と認められた者にはASCからアクレディテーション(認定証)が与えられます。名前はARUのデータベースに登録され、認定資格は世界中のIRB傘下の国で認められます。
■レベル1
オーストラリアでコーチになる場合の登竜門
(資格認定の条件)
- スマートラグビー(安全規定/品行規約他)受講
- ファウンデーション・コース(1日間)の受講
- 試験/90%の正解要(宿題形式、参考資料参照可)*期日厳守
- 20時間のコーチング・レポート提出(メール添付可)*期日厳守
- メントー・コーチ(先輩コーチ)のアセスメント(評価)提出
■レベル2
シニア及び代表クラスのコーチ
(資格認定の条件)
- レベル1資格認定者
*ARUが承認したコーチへの特例
レベル2資格への挑戦には、1年間のレベル1コーチ経験が必要ですが、選手/コーチとしての実績、哲学/目的等をARUが承認した場合、それが免除されます。
今回のコース開催中、レベル1/レベル2双方の資格に挑戦することが可能です。
試験は双方/レポートはレベル2のみ(参加費等は要確認) - レベル2認定コース(3日間)の受講
- 試験/90%の正解要
(宿題形式、ルールブック等の参考資料参照可)*期日厳守 - 60時間のコーチング・レポートまたはCD提出(メール添付可)*期日厳守
- メントー・コーチ(上級コーチ)のアセスメント(評価)提出
- スマート・ラグビー(安全面、品行規約など)の講習
■レベル3
トップレベル及び代表クラスのコーチ
(資格認定の条件)
- レベル2資格認定者
- ARUが実績などを基に厳正に考査し、推薦を受けた者のみ受講可
- 2月/9月にレベル3コース(5日間)に参加義務
- 課題の提出/年間を通じて課題が与えられる
レベル1/レベル2資格は4年で失効します。
上級レベル(レベル2/レベル3)に挑戦、またはアップデート(資格更新)が必要です。
何らかのアピールが無い場合、資格は失効します。
WORLD RUGBY(旧IRB)との連携の動きに伴い、今年のコーチングコース終了後に、認定資格の整理をします。何らかのアピールが無い場合、資格は失効します。